Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「うん」
むかえに行ったって――誰が、誰を、迎えに行ったのだろう――伸子は誰からも迎えなどうけなかった。まだ早いかな、と白い猿の腕にかけておいた時計を見ながら考え考え出かけて来たのだった。
「いやですわ、伸子さんたら!」
短い刈りあげにしているおかっぱの頭を愛嬌よくかしげて亀田の細君は笑った。
「フランシーヌのおことづてで、お約束の時間よりも早くは来られないっておっしゃったじゃない?」
「わたしが?」
あんまり思いがけなくて、伸子は茶の冬外套を着ている自分の胸のところをおさえた。
「しらないことよ」
格子縞の毛布のひろげられている長椅子にねころがっていた柴垣が、
「じゃ、例のてだ」
パイプの灰をはたきおとしながら、塩から声で云った。
「彼女はこのごろ、何かのイマージュにつかれているらしいよ。僕も経験ずみだが――イマージュが答えさせるんだ」
「いやだ――どういうことなの?」
「いいさ、いいさ」
良人である画家の亀田が細君をおちつかせるように彼女の肩をたたきながらあっさり云った。
「きみが行ったことはたしかなんだし、伸子さんも早く見えたんだから、それでもういいさ」
細君の好奇心は消えないで、伸子とつれだって電車の停留場へ行く道、彼女は低めた声できいた。