Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
日本でも、一緒にいる伸子がきまりわるく感じるほど、よくねぎった。気やすめのようにでも価をひかれると、もうそれで気をよくして払った。あいにくモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)では、辻待ちの橇も露天商人も、素子のその癖を刺戟する場合が多かった。伸子は、こういうことがはじまるとわきに立って、おとなしくかけあいを傍聴するのだった。
「さ、七十五カペイキ……いいだろう?」
リンゴ売は、いこじに、
「八十五カペイキ!」
と大きな声で固執した。
するとそのとき、リンゴ売と並んで、すぐ隣りの雪の上に布をかぶせてなかみのわからない籠をおいて、赤黄っぽい山羊皮外套の両袖口からたがいちがいに手をつっこんで指先を暖めながら、フェルトの長防寒靴をパタパタやってこのかけひきを見ていた若い一人の物売女が、かみ合わせた白い丈夫そうな前歯と前歯の間から、真似のできないからかい調子で、
「キタヤンキ!(支那女)」
と云った。はじめと終りのキの音に、女の子がイーをしたときそっくりの特別な鋭い響をもたせて。――
たちまち素子が、ききとがめた。リンゴ売の方は放り出して、
「何ていったのかい」