Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「ね、蜂谷さん、ほんとに、お願いだから、甘ったれっこなし――。折角、ああいう集会へつれて行ってくれたのに……」

ベルネの門の、小さいくぐりへ手をかけようとする伸子をおさえて、蜂谷は、

「ひとつだけ」

顔を近づけた。伸子は、頬っぺたと耳との間を掠めた蜂谷の唇を感じたまま、門のくぐりへ入ってしまった。

寝しずまっているベルネの家の階段を、伸子は滅入った気持でしずかにのぼって行った。蜂谷に抵抗することは、伸子の内に揺れかかる何かにさからうことだった。それは伸子の神経をつからせる。落付かない眼色で部屋の電燈をつけたとき、伸子は枕元の小テーブルの上におかれているマスコットの白い猿によせかけて、素子からの手紙があるのを見出したのだった。

はじめその手紙を見つけたとき伸子のおもざしがうれしさに輝いた。わざと手をふれずにおいて手紙を眺めながら、伸子は着がえをした。それから浴室で顔と手足を洗った。寝間着にかわって、寝台に入って、足の先でゆたんぽのありかをたしかめてから、伸子は、たのしみに、ゆっくりロシアのスタンプ、フランスのスタンプがいくつも押されている素子からの封筒をひらいたのだった。