Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「ね、来て」
「だめ」
混乱して、かすれた伸子の声だった。
「どうして?」
「だって……ちがうんだもの」
「何が」
「――タワーリシチじゃないもの」
むっくり、蜂谷の上体が寝台で起きあがった。
「じゃ、タワーリシチなら、君にはどんな男でもいいわけか」
「どうしてそういうことになるのかしら……」
まだすっかり自分をとり戻していない伸子が、不自然にゆっくりした口調で反問した。
「だって――そういうわけでしょう」
「わたしはコロンタイストではないわ」
「僕は君にとってタワーリシチじゃないってわけなのか」
「それはそうじゃないの」
伸子の答えは抵抗しがたくものやわらかで、同時にはっきりしていた。伸子は急に自覚しはじめるのだった。自分でさえ思いがけずに云ったタワーリシチであるということと、そうでないということの区別を説明することは、何とむずかしいことだろうか。と蜂谷良作も予期しない瞬間に、感情の焦点を移されたようだった。彼は壁にもたれて立っている伸子をめずらしいものをしらべるように、眺めた。
「じゃ、吉見素子は、どうなんだ、佐々さんにとって。――彼女は、同志なのか」
しばらく考えていて、伸子は、答えた。