Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
僕を心から可哀そうに思って、きみは、あんなにやさしくなっていたのに――僕が全く野卑だったんだ」
自分に対してきびしくあることに、蜂谷の安定が見出されているらしかった。
「わたしだって、そんなに聖なるものみたいな者じゃないわ」
伸子は、現実にあるままの自分を見失いたくないのだった。
「蜂谷さん、でもあなたどうしてあんなにおこったの? わたしが、あなたはタワーリシチじゃないと云ったとき――それは、ほんとのことだのに」
黒いソフト帽をぬいで、またかぶって、蜂谷良作は、苦しい表情をした。
「僕は嫉妬を感じたんだ。どうにもできないほど烈しく嫉妬したんだ。いつかそういうタワーリシチがあらわれたら、自信をもって伸子さんのその全部を自分のものにするんだろうと思うと……」
その全部を自分のものにする――タワーリシチでも? ぼんやりして、しかしつよい疑いの色が伸子の瞳に浮んだ。
「もう今は、ちがう。もしそういう選手があらわれたら、僕は彼を祝福することができる」
「――わたしの全部を自分のものにした、ということで?」
「それもあるだろう。けれども、それよりももっと、きみ自身のために。