Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
けれども、この相川良之介についての評論は、伸子が最近の二三年の間によんだ、どの文芸評論ともちがった趣をたたえていた。若々しい真摯さでひた押しに構成されている推論とともに情感を惜しまず、率直に人生と文学に関する自分の思いの一部をもこめて語っている文章からは、精神の強靱さと、そういう精神のもっているつやも閃き出ている。石田重吉という青年が、評論の強固な論理のおしすすめのうちに自身の若々しさを流露させていることは、伸子に珍しかった。
伸子は、その評論につりこまれた。文明社へかく手紙のことを暫く忘れた。
「――ぶこ!」
「え?」
「なにしてる」
「――うん」
素子が、しばらくすると立って来て、伸子のデスクをのぞきこんだ。
「何だ! 手紙、書いてたんじゃないのか。いやにひっそりしているから、蜂谷君へラヴ・レターでも書いてるのかと思った」
伸子のわきにおきっぱなしていた文明社からの明細書を、素子は手にとって見た。
「木下も、世間が思っているより、土精骨のない男だ。――自分では、よう、ことわりの手紙も書かへんやないか」
伸子は、それに答えず、わきに立っている素子に仰向いて、ひろげている雑誌の頁を示した。