Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
昔、アイヌがイコロとよんで、熊の皮や鰊の大量と交換に日本人からあてがわれていた朱塗蒔絵大椀や貝桶が、日本美術品として陳列されていた。伸子と素子とは、タガンローグの住人にとってめずらしい二人の日本婦人として子供に見物されながら町を歩き、メトロポリタンという堂々とした名前のホテルに一晩泊った。
田舎の町やホテルの面白さ。――だが、タガンローグの町で、チェホフが一日じゅう蠅をつかまえて暮している退屈な男を主人公にして小説をかいたわけだった。その蠅のひどいこと! 少しおおげさに云えば、伸子と素子とは蠅をかきわけて食堂のテーブルにつき、アゾフ海名物の魚スープといっしょに蠅をのみこまないためには、絶えずスプーンを保護して左手を働かせていなければならない程だった。
「タガンローグの五ヵ年計画には、必ずあの蠅退治がはいっているだろうと思いますね」
「わたしたちの村では清潔ですよ」
オリガが、ほこらしげに、単純な満足で目を輝かした。
「村のぐるりに森があって、森は素晴らしいんです。大抵の家で手入れのいい乳牛をかっていてね――クリームで煮たキノコの味! あなたがたが、あすこを見たら! 彼らは、生活しているんです」