Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

東洋人一般の顔でなく――」

伸子は、そこだったのか、と蒲原の画面に対して感じていた、ぼんやりした不満の正体を理解した。蒲原の描いた日本のメーデーの絵は、赤旗やスクラムを組んだ男女労働者や、ひっこぬき検束をしようとして一人の労働者のまわりにおそいかかっている黒服、サーベル、あご紐をかけて巻ゲートルをした警官隊と、それに抵抗してもみ合う行進者一群を描いて、日本のメーデーの性格を示そうとしていた。その状況は説明されているけれども、全体の画面は弱くてリアリスティックな熱っぽい雰囲気や量感に欠けていた。

「きいてごらんなさい、タワーリシチ」

ミチェンコは、すこしおどけて、大きい掌のひらを片方の耳のうしろにあてがって眼玉を大きくし、画面に向って耳をすます様子をした。

「きこえない、わたしにはきこえない。この画からはメーデーの跫音がきこえて来ない。彼らは眉毛で憤っている」

左手の指さきで、自分の眉毛をつき上げた。

「彼らは口でおこっている」

画面の労働者が叫んで開いている口つきをまねた。

「しかし、声がない。どよめきがない――真実の感情が不足しています」

伸子が自身の同感をふくめてとりつぐそれらの批評を、蒲原順二は、こだわりなくうけいれた。