Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ロンドンでわかれた弟の和一郎と小枝の、そういう帰朝写真を、日本から送られて来る新聞の上に発見したとき、伸子は、姉らしく苦笑した。若い夫婦の生活のなかで、のびやかに美しくなりまさっている小枝。日本の男は外国に生活しているとき、だれでも内地にいるときよりは表情がひきしまって、ましに見える、そのような表情で小枝のよこに立っている和一郎。その写真に、短いインタービューの記事がついていた。その文章をよんだとき、伸子は、体じゅうが腹立ちでほてるようだった。和一郎の談話として書かれているのは、ともかくも、建築家である彼ら若夫婦が、なけなしの旅費を工面してイタリーの建築や美術を見て来たということでもなければ、フランスのコルビュジエの新しい建築「前衛」の室内装飾についてでもなかった。和一郎は、何のつもりか、「姉のすすめにしたがって、イギリスの家庭生活を見ならって来ました」と語っているのだった。イギリスの家庭生活! それを見ならって来た! 姉のすすめ、という姉の上にはカッコをつけて作家佐々伸子と、註までしてあるのだった。
伸子は、眼にくやし涙をうかべるばかりだった。