Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
膝にのせている子供の白い服のわきから須美子も若々しくおかっぱの前髪をさし出して地図をのぞきこんだ。
「あった、ここです」
磯崎は、
「どうせ、あした又ホテルへは来てみますが――線を引いておきましょうか」
DUTOTと書かれている短い街の上に画家らしく軟い鉛筆の線を引いた。
「へえ、これでデュトですか。フランス語って、だからいやさ。わたしならデュトットと読んじまう。そう書いてあるんだもん」
じぶくるような素子の言葉で、笑いながら磯崎が、
「佐々さんは、お話しなさるんでしょう?」
ときいた。
「そうねえ、わたし、いくつフランス語をしっているかしら――まず、こんにちは、ね。それから、ありがとう。わたしはフランス語を話しません」
「ところが、それを云っちゃ駄目なんです。それ、そのとおり話しているじゃないかってやられるから」
生れつき言葉かずのすくないたちの若い女が物を云うときのゆっくりした口調で、須美子が、
「でも、パリのなかでなら英語で御不自由はありませんわね」
半ば磯崎の同意をもとめるように云った。
「それに、どの店でもたいてい正札つきでものを売って居りますから」
結婚したばかりでパリ生活がはじまり、主婦と同時に母親になった須美子のとりなしには、なに気ないなかに伸子や素子に通じる女同士の思いのようなものがあるのだった。