Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「パリの人たちは、よっぽど皮肉な感情で、お金のああいう字を見ているのかしら」
自由・平等・博愛という字のことにふれながら、伸子が云った。磯崎恭介は、
「さあ――」
と、格別そんな話題に興味をひかれる様子はなかった。
「どんな字をかいてあったって、十フランで買えるものが減って来るのにかわりはない、と思っているさ。パリの人たちは夢想家じゃありませんからね。そうでしょう? 須美子さん」
素子に問いかけられた須美子は、まんじゅう頭のおかっぱの前髪の下に、黒くてきれの大きい眼を真面目に見ひらいて黙っている。パリへ来てから伸子のこころに印象されるものは、素子の解釈ではつくしきれないのだった。
三
ある日の午後三時ごろ、伸子と素子とはグラン・ブル※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ールの一軒の宝石商のショウ・ウィンドウの前にたたずんで、長いこと、その中に飾ってある一つの腕環を見ていた。堂々としたその宝石店のショウ・ウィンドウは高い石の腰羽目の奥にきりこまれていて、瀟洒な銀灰色の絹びろうどで覆われた窓のゆかが背の低い伸子の視線と平らな高さにあった。六月のブル※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ールの光線が日除けでやわらげられている窓の中で、若葉の緑や建物の黒く滑らかな石の肌と絹びろうどの銀灰色とはそれだけで一つの階調をつくって