Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
――まち賃は出す――どう?」
運転手は、感情をあらわすまいとする無愛想さで、
「よろしい」
と云った。この白系ロシア人の運転手は自分ではフランス語しかつかわないのだった。
磯崎でおそわったジャコブ街の角の「アメリカン・デンティスト」は日曜日でしまっていた。そこがだめだったらと、ドフィネの二〇番の五階に住んでいる芝村という日本人を紹介されていて、伸子はそこへも行った。日曜日の朝の九時すぎたばかりに、寝床にいる若い男のひとを起して歯医者のことをきくのは、伸子によくよくの思いだった。派手なパジャマ姿のそのひとは、
「弱ったなあ」
と、頭のうしろを掻いた。
「何しろ日曜ですからねえ」
月曜になったら、何とでもするがということだった。月曜日になれば、その「アメリカン・デンティスト」も、日本の人の経営している歯医者もあくのだった。困りはてたその人は伸子とつれだって、サン・ラザールにあるアメリカン・デンティストの支店へ行ってくれた。そこにも、宿直の年よりが窓口に顔を出したきりだった。その年よりは困っている伸子と、もっと閉口している男の人に同情して伸子に、一つの鎮痛のための薬の名を書いた紙きれをくれた。