Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

素子のために送金そのほか連絡係をしていてくれる東京の従弟の分として選ばれることもあり、時にはまるで誰にというあてもなく、しかし、いつか、どこかにそれをおくるひとが現れでもするかのように、気の利いた水色と白のこまかな市松織のネクタイが買われたりした。素子のネクタイ蒐集は、ウィーンで買ったオリーヴ色の小鞄にしまわれていた。パリの六月の長い金色の夕暮が、あけはなしたバルコンから斜かいに三角の光のよどみを壁紙の裾にとどめているような刻限、また夕飯に出てゆくまでのひとときを素子はよくベッドの上にころがって、ネクタイを眺めなおしていた。だまって、あれからこれへと手にとって、仰向いている目の前にかざして眺めたり、そのうちに起きかえって、自分がそれまでかけていたのをとって、新しい一本ととりかえてみたり。――それは、男のパイプ趣味とはちがった。女が半襟だの紐類だの小物に示す愛情の情景だった。

道楽のない伸子は、となりに並んだ自分のベッドに腰かけてその様子を見ていたり、ときには、上着をとって、ブラウスとスカート姿で、ころがっている素子にくっついて同じベッドにかけ、素子の蒐集の中から伸子に気に入るのをよりわけたりした。