Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
河を下ってゆく伸子たちのマクシム・ゴーリキイ号は、船艙いっぱいに上流の森林地帯から生産されたベニヤ板を積みこんでいた。高く積み上げられたベニヤ板と船艙の天井との間にヴォルガ沿岸地方の多勢の農民がねころがって、ニージュニからカザンまで、カザンからサマラまでという風にのっていた。しめっぽくて強い木の香のみちた船艙に鞋をはいた農民たちが、黒ラシャの外套一枚を毛布がわりに積荷であるベニヤ板の上にころがって河を下ってゆく光景は「夜の宿」の舞台めいているようだけれども、その船艙の一隅には「赤い隅」と「図書部」があって、素子はそこから本をかりた。夜になると、もう秋の落潮のはじまったヴォルガの水脈を求めてゆるく航行する船の舷側から、ギターがきこえ、若い男の唄声が水の上に流れた。伸子は甲板の椅子によって、鏤めるという字そのままに美しく、大きく黒い空にきらめいている星を見まもりながら、流れ下る若い男の唄声にとかされてそのまま眠ってしまったこともあった。
西瓜船にすれちがうのはきまって午後だった。ヴォルガの洋々とした水の面が今を最後の夏の光と暑気とにまばゆい午後になると、アストラハンを出発して上流に向う遊覧船にひかれて、山もりに西瓜をつんだ平底船が来た。