Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
におどろかされた人の、かすかに笑う表情があらわれた。しばらく黙って見ていて、そのフランス婦人はまた伸子に、
「おいしい?」
ときいた。
「ええ、おいしい」
それだけでは何だかものたりなくて、伸子はおいしい口つきをして見せながら、
「たいへん、甘いです。汁気がたっぷり」
と云った。フランス婦人は、通じたのか通じないのか、伸子の英語にうなずいて、伸子たちが車室へ入ってしまってもなお一人廊下にのこって、外の景色を眺めていた。
何の目的で、どこに向ってソヴェトの中を一人旅しているのかわからないその五十がらみのフランス婦人は、夕飯の弁当に雛鳥の丸焼をもっていて、それを少しずつ食べながら、金の小さいコップを出して、葡萄酒をのんだ。相当の年の優美な女のひとが、繊細な指さきを器用につかって鳥の肉をさき、ちっとも粗野な感じを与えずに、それを口へ運んで、葡萄酒をのんでいる様子も、伸子には印象にのこった。彼女が、ほんの少量しかたべなかったこととともに。
ヴォージラールの通りの店で、桜んぼうを買って帰って来る途中で、伸子は、ふっとそういう去年の一情景を思い出した。と、いうのは、伸子が桜んぼうを買ったその店ではガラスのショウ・ケースの中にムロン、一キロとだけ書いて、価を入れてない正札がニッケルの正札ばさみの上に立っているばかりで、ムロンそのもの