Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
七
パリの初夏の雨あがりの黄昏は、賑やかなところではそろそろ眠りを知らない賑わいがはじまっていながら、灰色に静かな界隈ではそのしずけさがひとしお深く、物思わしいような時刻だった。一人だった須美子は、伸子たちに訪ねられて、うれしさをおさえられないようだった。
「磯崎がいないから、わたし、内緒でわるいけれどお二人に絵を見て頂きたいわ」
そう云って、須美子は、子供をねかしてある隣室へ行った。須美子の絵は、まとめて衣裳棚の上にでも上げられているらしかった。椅子を動かす音がした。手間どって、須美子は三枚のキャン※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ァスをもってもどって来た。彼女は電燈をつけた。そして、その新しい光の下に、八号ばかりの自分の絵を置いた。空いている椅子の一つを、伸子たちから適当な距離にはなして、その上に。
「ホノルルの景色です」
須美子も、伸子たちのわきに立って一緒にその風景を眺めた。
「いいじゃないですか」
素子がほめた。
「ホノルルって、こんなに、きれいなところなのかな。みずみずしいんだなあ」
須美子が描いているのは、風景としては奇抜なところのない自然のひとすみだった。