Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
舞台の時間が来てポリニャーク夫人が席を去ってから、ポリニャークが杯をあける速力は目立ってはやくなった。
秋山宇一は額まで赫くなった顔を小さい手でなでるようにしながら、
「ロシアの人は酒につよいですね」
頭をひとりうなずかせながら、すこし鼻にかかるようになった声で云った。
「寒い国の人は、みんなそうですがね」
「空気が乾燥しているから、これだけのめるんですよ」
やっぱり大してのめない内海厚が、テーブルの上に置いたままあったウォツカの杯をとりあげて、試験管でもしらべるように、電燈の光にすかして眺めた。それに目をとめてアレクサンドロフが、
「内海さん、ウォツカの実験をする一番適切な方法はね、視ることじゃないんです、こうするんです」
唇にあてた杯と一緒に頭をうしろにふるようにして自分の杯をのみほした。
「日本の酒は、啜るのみかたでしょう? 葡萄酒のように――」
「啜ろうと、仰ごうと、一般に酒は苦手でね」
内海が、もう酒の席にはいくぶんげんなりしたように云った。
「日本の神々のなかには、大方バッカスはいないんだろうよ。あわれなことさ!」
伸子はハンカチーフがほしくなった。