Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
この間、ニキーツキイ門へ出る通りを歩いていたら歩道に面した空店の中で多勢の女が、大部分立ったまま何か会議していた。ドアのあいた店内へは通りすがりの誰でも入れた。伸子も入って立って聞いていたら、それは、家事労働婦人の組合の会議だった。伸子はその集会をみたりしていて独特にテムポのゆるい、重い、しかし熱心な空気を思いおこしてニューラにきいたのだった。
「知っています」
「じゃ、はいりなさいよ、そうすれば、友達が出来るわ。そこの書類にはエウドキアって本当の名を書いてくれるわ」
「わたしは書類をかきこむために主人にわたしてあるんです」
「いつ?」
「もう三月ばかり前に」
三月まえと云えば、伸子たちがまだアストージェンカへ引越して来なかった時分のことだ。
「書いてくれるまで度々、たのみなさい、ね」
もうそこは主人のドアの前だったので、ニューラは、気がねしたような声で、
「ええ」
と返事した。
ベルを鳴らすと、素子が出て来て戸をあけた。ルイバコフ夫婦はまだ帰って来ていなかった。
「いやに手間がかかったじゃないか、どうかしたのかと思っちゃった」
「そうだった? 御免なさい。わたしたちは急がなかったのよ、そうでしょう? ニューラ」