Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ハルビンでどうせ裏毛にするのだから、そのときちゃんと体に合わせればいいと、伸子の厚い黒羅紗の外套は、身たけなどをいい加減に縫ってあった。ハルビンのチューリンで、やすくて丈夫で、比較的重くもないという猿の毛皮を買ったとき、それを世話してくれたのは素子の友人の新聞記者であった。その場のなりゆきから、伸子は外套のたけをやかましく計らずに猿の毛皮をつけてもらってしまった。長すぎて幅もしっくりしない黒外套を重そうにひきずった小さい丸い自分の恰好を考えると、伸子は、他人の感じるユーモアを、われには微かにきまりわるく思っているのだった。
デザートに出た乾杏や梅、なつめなどの砂糖煮をたべていると、瀬川が腕時計を一寸みて、
「秋山さん、こんやはМ・Х・Т(モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)芸術座)へ行かれますか」
と、きいた。
「さあ……」
「切符、この間、あなたもおもらいでしょう?」
「あったかね――内海君」
「…………」
内海は、首をかしげて黙ったまま思い出そうとするようにした。
「今夜は、『装甲列車』なんです――どうです、お二人は――みに行かれませんか」
瀬川にそう云われて、芝居ずきの素子が、すこし上気した顔になった。