Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ニューラがバルコニーへ出ると、その若者たちのなかから挑むような鋭い口笛がおこった。
伸子は反射的にドアのかげに体をひっこめた。
「ヘーイ! デブチョンカ(娘っこ)!」
「来いよ、こっちへ!」
屋根の上から笑いながら怒鳴る若者の声がきこえた。むこう側からはこちらの建物の、内庭に面しているすべての窓々とバルコニーとが見えるわけだった。若い者たちはおそらくその窓々がきょうはみんなしまっていて、バルコニーで働いている女の姿もないのを見きわめて、たった一つあいているバルコニーのニューラをからかっているらしかった。
赤茶色の屋根のゆるい勾配にそって横になっていた一人の若者が、重心をとりながら立ちあがって、ポケットから何か出した。そして、それを、ニューラのいるこちらのバルコニーへ向って見せながら、伸子にはききわけられない短い言葉を早口に叫んだ。そして、声をそろえてどっと笑った。一人が口へ指をあてて高い鋭い口笛をならした。それは何か猥褻なことらしかった。ニューラは、メーデイだのに着がえもしなかった汚れたなりで、両方の腕を平べったい胸の前に組み合わせ、いかついような後姿でバルコニーに立ち、笑いもしないが引こみもしないで、じっとパン工場の屋根を見ている。