Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
第三章
一
伸子と素子とはその季節に、二ヵ月あまり暮したアストージェンカの部屋をひきあげてレーニングラードへ向った。
春とともに乾きはじめて埃っぽくなるモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)は、メーデイがすぎ、にわかに夏めいた日光がすべてのものの上に躍りだすと、いかにも平地の都会らしく、うるおいのない暑さになって来た。
伸子たちは夜の十一時すぎの汽車でモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の北停車場を出発した。汽車がすいていて、よく眠って目がさめたとき列車の窓の外に見える風景が伸子をおどろかせた。列車は、ところどころに朽ちかけた柵のある寂しいひろい野原に沿って走っていた。その野原の青草を浸す一面のひたひた水が春のまし水のように明けがたの鈍い灰色の空の下に光っていた。瑞々しい若葉をひろげた白樺の林がその水の中に群れ立っている。白と緑と灰色の色調の水っぽくて人気ない風景は、いかにも北の海近い土地に入って来た感じだった。
汽車の窓から見えた北の国らしい風物の印象は、レーニングラードという都会にはいって一層つよめられた。バルト海に面していくすじもの運河をもつこの都会は十八世紀につくられた。