Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
それでも、父や母が、二十一ばかりだった伸子のまじりけない娘としての心配ごころをつかんで動かしたということについては、思いが消えなかった。伸子は思うとおりに生きようとして親たちに抵抗する娘ではあったが、他人のなかでもまれて育った女とちがって、そういう子供の時分から習慣になっている肉親のいきさつでは案外もろかった。
至急帰朝ありたし、と云って来るからには、何かあるのだろう。だが、伸子は、こんども自分の子供っぽさであわてさせられるのは金輪際いやだった。
「まさか、お父さんがどうかされたんじゃないだろうね」
老年の父親をもっている素子が、次の日になってから、散歩している公園の橋の上でふっと云った。黙っていて、やがて伸子は確信があるように断言した。
「父じゃないわ、それはたしかよ。もしそんなことなら、別な電報のうちようがあるもの。――それに……たしかに大丈夫!」
伸子は、もし万一父の身の上に変ったことでもあれば、あの電報があんなにはっきりとそれにさからう心持を自分におこさせる筈はないと思った。最近は父というものについても伸子の心にこれまでとちがった判断が加えられて来ていたけれども、まだ伸子は仲のいい父娘としての心のゆきかいを信じていた。