Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
昼飯はあっちで食うからいいよと保がいうので、晩御飯はどうなさいますかときいたら、保は歩きながら、それもついでに御馳走になって来ようか。少し図々しいかな、と笑って門の方へ出て行った。
いつも几帳面に自分の出るとき帰る時間を言いおく保が、その晩はとうとう帰宅しなかった。八月二日になった。父は事務所に出勤。和一郎は在宅して、保が帰るのを心待ちしたが、その日の夕刻になっても保は帰って来ない。父が事務所から帰ったときは、和一郎が何となし不安になって、日頃保が親しくしていた二三人の友達の家へ電話をかけたところだった。保はどこへも行っていなかった。きのう来たというところもなかった。まして、家へ泊ったという返事をした友人はなかった。われらの不安は極度に高まり、二日夜は深更に到るまで和一郎と協議し、家じゅうを隈なく捜索せり。
よみ終った頁を一枚ずつ素子にわたしながらそこまでよみ進んだ伸子は、鳥肌だった。和一郎とつれだった泰造が、平常は活動的な生活のいそがしさから忘れている家のなかの隅々や、庭の茂みの中に保をさがすこころの内はどんなだったろう。伸子は、白い紙の上にかかれている文字の一つ一つを、父の苦渋の一滴一滴と思った。