Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

――涙があふれて伸子は字が見えなくなった。幾度も幾度もくりかえして伸子はそのくだりをよんだ。父の涙とまじって降る雨のしぶきが顔をぬらすようだった。

動坂の家でそういう切ない作業がつづけられている間に、よばれた遠縁の青年が、福島県の桜山の家へ避暑している多計代の許へやられた。多計代をおどろかさないために、とりあえず、保さんはこちらに来ていませんか、とたずねて。

つづけてその先へよみすすんで、伸子は涙もかわきあがった両眼をひきつったように見開いた。手紙をもっていた手が膝の上におちた。やがてまたそれを目に近よせて熱心によみ直した。保は三月の下旬に一度死のうとしたことがあって、さいわいそのときは未然に発見されたと泰造は書いているのだった。三月下旬のある晩、まだ高校が春休み中だった保もまじえて、みんなが賑やかに夜をふかし、保だけをのこして、両親は二階の寝室へあがった。寝ついてしばらくたったとき、泰造はふと、いつも眼鏡、いれ歯、財布、時計などを入れて枕もとにおく小物入れの箱を食堂へおきっぱなしにして来たのを思い出した。泰造が階下へおりて食堂へ行こうとすると、真暗な廊下にひどくガスのにおいがした。