Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

五

寂寥とみに加わったわが家に、溌剌たる伸子の居らざることはたえがたいが、考えてみれば、伸子の判断にも一理ありと信じる。たとえ伸子がいま帰朝したにせよ、すでに逝いた保の命はよみがえらすに由ない。おそらくは保も、姉が元気に研究をつづけることを希望しているだろう。われら老夫妻も保とともにそれを希望するこころもちになって来た。何よりも健康に注意して暮すように。泰造は、はじめて自分たちを、われら老夫妻とかいている。最後の白い書簡箋を素子にわたして、伸子は両手で顔をおおった。

五

伸子は、思いにとらわれた心でパンシオン・ソモロフの食卓につらなっていた。妙に長くて人目立つ鼻にお白粉を塗って、白ヴォイルのブラウスの胸に造花の飾りをつけたエレーナ・ニコライエヴナが、小さくて黒く光る眼をせわしく動かしながら耳だつ声でトルストイが最後に家出した気持は理解できるとか出来ないとか盛に喋っている。あの雨の日のヴェランダで伸子の手をつかんで蝙蝠の羽ばたきのようにマズルカをおどった老嬢エレーナは、彼女の休暇を終って美術館の仕事に戻って行った。新しく来たエレーナ・ニコライエヴナは、レーニングラードのどこかの映画館でプログラム売りをしていた。