Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

と云いだした。

「ええ。突然のことだし、大体、あんまり例のないことですからね」

ソコーリスキーは、気のきいた黒い髭に指を当ててちょっと考えていたが、

「そうです、そうです」

自分にむかっても合点するように頭をふった。

「われわれの生活には、例のないことも起ることがあるんです。――ともかく正餐をすませてからにしましょう」

細君はひとことも口をきかず、赤いむらむらは消えたかわり妙に色がくろくなったような顔で、まずそうに犢の肉を皿の上でこまかくきっている。

ほとんど口をきかないで食事が終った。細君はすぐ立って寝室の方へ去った。アニュータがテーブルを片づけに入って来た。うちのなかにおこることは何から何まで知られて困らない召使をもっている人間の気がねなさで、ソコーリスキーは早速、

「では、われわれの事務を片づけましょう」

と、ディヴァンの方へうつった。

ソコーリスキーは、細君が伸子たちに云ったと同じことを、細君より順序よく、もっと重要性をふくめてくりかえした。ソコーリスキーが、神経の亢奮やいらだちをおさえて、出来るだけすらりとことを運ぼうと希望しているのは明瞭だった。