Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
それは似合わないこともないが、似合いかたに全く性格がなかった。女が、その年ごろや顔だちでただ似合うという平凡な似合いかたにすぎなかった。伸子は、鏡の前へ立ったまま、手をやって、ふくらんでいる捲毛の波をおさえつけるようにした。
「いけません、いけません。そのままで完全です」
伸子はそんな髪を自分として突飛だと思った。だけれども、女は髪で気がかわると云われるから、もしかしたら淋しさを追っぱらう何かの役に立つかしらと思った。髪は祭のようだったが、伸子が雪の降る夜のガラス窓を見ている眼は黒い二つのボタンのようにゆうべと同じ淋しさで光っている。
その晩はめずらしく早めに帰って来ていたグーセフの細君が、ノックして伸子の室へ入って来た。
「邪魔してごめんなさい。外套を出さして下さいね」
一つしかない衣裳箪笥は、伸子のかりている室におかれていた。伸子とおもやいに使う、という約束だったが、伸子は自分のスーツ・ケースをディヴァンの横へ立て、外套は釘にかけていた。いかにも一時的なそういうくらしかたそのものが、なお伸子をそこになじませないのだということを伸子は心づいていなかった。