Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
十一
タイルばりの床の上に、車輪付椅子があって、その上に伸子のぬいだ病衣や毛布がたぐめられてある。浴槽には熱いめの湯がたっぷりたたえられていて、その湯のなかに沈んでいる伸子の体は、病人と思えないほど快い桜色だった。胆嚢や肝臓の炎症にかかわらず伸子は黄疸の気味もなかった。すこしのびた断髪のぼんのくぼの毛がぬれるほど伸子はゆったり手脚をのばして湯につかっている。明るい雪あかりは白い浴槽のふちに輝き、短く湯気のたっている湯がほんのり赤い伸子の体の上におこす波だちの上にきらめき、ナターシャの糊のきつい白前掛の膝に流れている。
ナターシャは、ちぢれた艷のいい栗色の髪を真白なプラトークでつつんで、白い看護服の首のところから洗いたての白前掛をかけ、肱の上まで両腕をむき出している。小さい円腰かけにかけたナターシャは気持よさそうに窓外の雪景色を眺めている。そうしていながらときどき、雪あかりをいっぱいうけて湯の中に横たわっている伸子の暖かそうな肌色の体に目をやり、また外を見ている。ナターシャの頬っぺたの色は日に日に熟して行くすももの色をしていた。ごみのない澄んだ雪あかりと白いプラトークや看護服のなかで、ナターシャのすもも色の若い頬っぺたは、びっくりするほどの生活力にあふれている。