Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

遠いそとの雪景色を見ている彼女のすももの頬っぺたの横顔やおなかのところで白い大前掛のもりあがっている若い丈夫な躯つきには、強壮さといっしょにどこか真面目な重々しさがある。ナターシャは姙娠七ヵ月になろうとしているところだった。

額ぎわに汗ばんで来た伸子は、汗のつぶが流れるようになるまで漬っていて、ナターシャの腕につかまりながら湯ぶねの中に立ちあがった。伸子が、左脚に重心をおいて、ナターシャの腕につかまり、まだ足のつけない右脇をかばって立っているうちに、ナターシャはタオルで伸子のぬれて湯気のたつ体をつつみ、きつくこすった。自分も片手をうごかして拭きながら伸子がきいた。

「ナターシャ、数学の課題、どうなって? すんだ?」

その日ナターシャは午前の休息時間じゅう、微分の宿題ととっくんでいた。ナターシャの踵へ重みのかかった歩き姿をちっとも見かけないので、伸子が年とった雑仕婦の一人に、

「ナターシャ、きょうは休んだの」ときいたら、

「来ていますよ。――彼女は一生懸命数学の勉強しているんです」

そして、片手のひらを皺のよった頬にあてて同情するように頭をふった。

「課題は彼女にとってやさしくないんです」