Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「権利か何かお貰いになるわけなんですか」
「そうですよ。なかなかこまかい契約がいるんでね。第一引上げに成功したら、その何パーセントかはこっちへとるということがあるし」
ブラック・プリンスは、世界の潜水業者の間に久しく話題になっている沈没船なのだそうだった。金塊を何百万ルーブリとかつんだまま沈んでいるというのだった。
「それが今ごろまでそのまんまあるものかしら」
押川春浪の綺談めいた物語に伸子はうす笑いの口元になった。ソヴェトは、こんなに新しい開発建設の事業のために金を必要としている。それだのに、自分の領海に沈んでいる何百万ルーブリという金塊をうちすてておこうとは伸子には信じられなかった。
「案外、もう始末してしまってあるんじゃないかしら」
「いいや、そんなことは決してない」
つよく首をふって権田正助は否定した。
「第一、誰もまだブラック・プリンスの引上げに成功したっていう話をきいていないんだから」
「だって、いちいち世界へ報告しないだっていいでしょう」
「そう行くもんですか」
四十を越した年配にかかわらず、権田正助は、一徹に主張した。
「あなたにはわかるまいけれど、海の真中でそれだけの仕事をやるのに、航行中の船が目をつけないってわけは絶対にあるもんじゃないんです。