Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
何と妙な――だから多計代は率直に、わたしも西洋を見て来たいし、と言ってしまえば誰の気持もさっぱりしていいのに! 伸子は多計代の手紙から感じた矛盾をまたあらためて感じた。死んでもいいから生命を賭して娘の見舞いに来ようとするものが、様子によってたつのをきめる、伸子が旅行してよかったらたつというのは、伸子にはくいちがったものとしてうけとれるのだった。
とにかく吉沢博士から「タテ。ヨシザワ」という電報がうたれた。伸子は四月の第一土曜日に、あしかけ四ヵ月ぶりでモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)大学病院を退院して、アストージェンカの狭い狭い素子の室へかえった。カルルスバード行きを証明したフロムゴリド教授の小さい一枚の書きつけをもって。
第二章
一
佐々伸子と吉見素子とがモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)を出発して、ワルシャワについたのは一九二九年の四月三十日の午後だった。
朝から車窓のそとにつづくポーランドの原野や耕地をぬらして雨が降っていた。その雨は、彼女たちがワルシャワへついてもまだやまなかった。大きく煤けたワルシャワ停車場の雨にぬれ泥によごされたコンクリートは薄暗くて、ロシア語によく似ていながら伸子たちには分らない言葉を話す群衆が雑踏していた。