Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
社交にみがかれてつやのあるヴォアラ・マドモアゼルという云いかた。チャリンと澄んだ音でうち鳴らされた拍車の響。そして軽く指の先へひっかけるようにしてつまみあげたハンカチーフを小柄な伸子にさし出した身ごなし。そのひとつらなりの動作がまるで舞踊のひとくさりそのまま軽妙でリズミカルだった。
伸子は、あんまり人に見られるとも思わず佇んでいた。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)を立つ間ぎわになってから大急ぎで、そのカラーとカフスのところへ柔かな灰色のアンゴラ毛皮を自分で縫いつけて来た紺の合外套を着て。
そこへさし出されたものを見れば、思いもかけずいつおとしたのか、それが自分のハンカチーフであったのと、若い将校のひろってくれかたが、あんまり派手なサロン風なのとで、伸子はわれしらず耳朶を赤くした。そして、踊りあいての挨拶につい誘われたようなしなで、
「メルシ」
と礼を云った。若い将校は、羞らいぎみに外国語をつかう伸子の顔にじっと笑いをふくんだ目を注ぎ、もう一度直立してその拍子に踵をうち合わせ、チャリンと拍車を鳴らして、去って行った。
対手が行ってしまうと同時に、伸子は急にきまりわるさがこみあげた。