Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

我にもなくつい気取って、メルシなんて云ってしまって。フランス語なんか知りもしない自分だのに。素子が見ていなくてたすかった、と伸子は思った。素子は支配人に向って少し声高なロシア語で談判めいて云っている。

「どうして? もちろんあなたは知っているはずだし、知っていなければならないでしょう、職務上……」

伸子は、わきへよって行った。

「どうしたの?」

ちらりと伸子を見て、意味ありげに苦笑しながら素子は日本語で、

「メーデーのことなんか知らないって云いやがる」

ワルシャワで、メーデーがどう感じとられているかということが、伸子たちに察しられた。伸子がかわって、英語で支配人に云った。

「宿帳にかいたとおり、わたしたちは作家だから、五月一日の光景を観ることが必要なんです――行進はどこにあるんです?」

支配人は黒いフロックコートの腕をあげて鼻髭を撫でながら伸子のいうことをきいていたが、まるで出し惜しみするように、ドイツ訛のきつい英語で、

「行進は劇場広場に集ると、けさの新聞にはありました」

と答えた。つづけて、

「しかし危険です」真中からわけてポマードでかためている頭をふりながら警告した。