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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「出してくれ!」

伸子に命令した。

「わたしが、出さなかったはずは絶対にないんだ。ほかに着るものがないのに、忘れる奴があるもんか。ぶこの責任だ。つめたのは君だもの。――どっからでも、出してくれ――」

どっからでも出せと云ったって、伸子と素子と二人で、そのたった一つのスーツ・ケースしかもっていないのに。――

「無理よ。そんなこと」

伸子は、自分のベッドの上で、ひっくりかえしたスーツ・ケースのなかみをまたもとどおりにしまいながら云った。

「二人分を一つに入れているのがわるかったんだわ」

「出してくれ!」

素子は腹だちで顎のあたりがねじれたような顔つきになり、寝台に近づいて来て、その上で片づけものをしている伸子の腕を服の上からぎゅっとつかんだ。

「あのブラウスがなくて何を着たらいいんだ」

「…………」

いっしょにつめるように素子が揃えて出したすべてのものを、スーツ・ケースに入れたとしか伸子には思えないのだった。伸子は途方にくれた。

「もしかしたら、衣裳ダンスにかけっぱなしで来たんじゃないのかしら――着て来ようとでも思って」

「そんなことないったら!」

痛いように伸子の腕をつかんでゆすぶりながら、