Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
そのシュミットがもう帰っているかもしれない、と黒川隆三は建物の廻廊の方へ一人で見に行った。伸子は、彼の姿が少し遠のくと、素子に、
「ここ、どういうのかしら」
すこし低めた声で云った。
「こんなに、子供のいない労働者住宅ってある? どこ見たって、もののほしてある窓一つないなんて――」
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のノヴォデビーチェの新開町が、勤労者住宅を中心として雪の中に賑やかに雑沓してあけくれしていた情景を伸子は思いくらべた。あそこではどっちを見ても子供たちがいた。いろんな物音と声がしていた。そして動いて生活の活気がたぎっていた。
「――ここは、だいぶ参観用なんじゃないかな」
素子がそう云って、皮肉そうにタバコをもっている手で顎をなでるようにした。そこへ、
「まだかえっていませんよ――せっかく来たのに残念だなあ」
と、黒川隆三が、脱いだ黒いソフト帽を片手にふりながら伸子たちのところへもどって来た。
「いつもいるんですがね、あいにくだ」
「いいですよ」
素子が云った。
「いずれ、内部も外同様、さぞこざっぱりしているんだろうから」
「それを見てもらいたいんです」