Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
この額の四角い半白の人は、伸子が話しはじめたときから終るまで、腕組みをして椅子の背にもたせた顔を仰向けたなり目をつぶっていた。
「どうですか、佐々さん」
幹事の津山が、伸子には横柄に感じられたそのひとの間接の質問をとりついだ。
「あっちの、医学そのものとしてのレベルは、どうです? 現在はやっぱり相当のものだと思いますか」
「――?」
伸子はのみかけていた番茶の茶碗をテーブルの上において、顔の上に意外そうな表情をむき出しながら津山から一座の人々へと目をうつした。
「わたしにそんなことをおききになるなんて――ソヴェトの研究や発見の報告はいつも世界の学界へ報告されているんじゃないでしょうか――ドイツの医学雑誌では、ソヴェトのものはのせないことになっているのかしら――」
伸子は、この言葉の皮肉な効果を全く知らずに云ったのだった。
音楽の都のウィーンでは、ソヴェト音楽をしめ出していた。ドイツでの学会というようなところでは、似たようなことがあり得ないことでもないと思ったのだった。ところが、伸子の単純な問いかえしに答えて発言する人は誰もなかった。みんな黙っている。その黙りかたが何だか妙だった。