Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「どこが相手?」
「そりゃ、ドイツにとって伝統的な敵がある」
それは、フランスというわけだった。
「むこうだって、このまんまの状態が永久につづくとは思ってはいない。国境に、あれほど大規模な要塞建造をやろうとしているじゃないですか」
フランスに対してばかりではなく、ドイツの一部には、国境の四方へ憎しみの目をくばっている人々がある。それは伸子もわかっていた。でも――
「もう一遍戦争すればドイツはきっと勝つと、きまってでもいるのかしら」
「そんなことは、時の運だ」
いかにも伸子の女らしいこわがりと戦争ぎらいをおかしがるように、津山進治郎はこだわりなく大笑いをした。
「ドイツとしちゃ飽くまで勝つべくやるのさ。それが当然だ、そして十分の可能性がありますね」
「――へんだわ」
伸子が若い柔かな体ごとそこへ坐りこんだような眼つきになって津山を見つめた。
「そんなことしたって、やりかたがもっともっと残酷になって行くばっかりじゃありませんか――土台を直そうとしなけりゃ……」
一九一八年十一月七日、ドイツの無条件降伏のニュースがつたわって、酔っぱらったようになったニューヨーク市の光景が閃くように伸子の記憶によみがえった。