Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、伸子たちがいままではいているような、本当の絹ではあるが白っぽくだらけた肌色ではなく、すっきりしたオークルで、人絹のうすでな靴下だった。ベルリンの大きな百貨店ウェルトハイムの婦人靴下売場にはモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)から来た伸子をびっくりさせるほどいく種類もの靴下があった。それを買う婦人のために、売子は内部から電燈にてらされているガラスの脚型にくつ下をはかせて、ほつれのあるなしを調べわたしていた。

街路をぬらして降っている雨と、女ばかりにくつろいだ室のなかの光景と、それはベルリンでのめずらしい一晩だった。

伸子は、素子からはなれてテーブルにふかくもたれ、艷やかな湯あがりの顔を頬杖にささえながら、素子のこまかい針の動きを見ていたが、

「あなた、ワンピース着て見る気はない?」

ゆっくり自分の考えていることのなかから話す声の調子でいった。いま素子がほつれを直しているのはウィーンで買った、淡いライラック色のスーツの上着だった。

「そりゃ着たっていいけど、似合うのがないじゃないか」

うつむいて手を動かしながら素子が返事した。

「――スーツって、そんなに着心地がいいものかしら?」