Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
我にかえって、その異様な雰囲気をさとり、それが、多計代にどううけとられているかを直感したとき、伸子は両手で顔をおおいたかった。
多計代は、伸子をためしたのだった。伸子は、はっきりそう感じた。錦のつつみものが保だとさとったとき、伸子はそれにすがって泣きでもするだろうか。あるいは椅子から立ってお辞儀でもするだろうか。そうならば、それは多計代に伸子のやさしさが示されたことであった。だが伸子は涙をこぼさず、ただ蒼ざめて、こわいこわい顔つきになったばかりだった。そして、それについて、ふた親の方から何も云わないとおり、伸子も何も云わない。多計代は、伸子のうけた衝撃について、全く理解しないのだった。伸子に、錦のつつみものの内容が、どんな苦痛を与えたか。多計代はそれを理解しなかったばかりでなく、期待したような表現で愁歎を示さない伸子を、やっぱり冷酷な娘と思ったことが伸子に、ひしひしとわかった。冷酷な姉になんか保は頭を下げて貰うに及ばないのだ。伸子は、多計代の眼のなかに、言葉となってそう光っている光をよみとった。一層伸子を苦しい思いにさせたのは、その瞬間の反撥の火花のなかで、多計代の結論が目に見えることだった。