Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

和一郎の記憶は錦のつつみを見るごとに刺戟され、それは新婚の彼にとって苦痛であることが、伸子には同情をもって思いやれるのだった。

「おっかさん一人で旅行しているんなら、すきなとおりにしたらいいのさ。でも僕たちは、やりきれやしない。つや子だって、あれから、ずっと妙になっているのに」

和一郎のそういう言葉の調子には、船にのっていた四十日の間に、たまって来ている感情のくすぶりが抑えようもなく響くのだった。

「パリへ行けば、あなたがたの逃げ場もあってよ」

深い話をさけて、伸子は冗談のように云った。ノアイユでの午後に見られたいくつかの情景――たとえば、マルセーユ市街見物に泰造と和一郎が出かける。小枝もつれて行こうかどうしようかという場合のごたつきかた、それからホテルの食堂での晩餐のとき多計代が小枝にもとめたこまかいサーヴィスの模様。小枝がこんなにも多計代の気にいっていないという発見は伸子を困却させた。二十一になったばかりで苦労を知らず、人につかえた経験のない小枝が、伯母であって姑という関係におかれるようになった多計代に対して、どう親愛をあらわして行ったらいいのか、気おくれがさきに立って、自分からきっかけがつかめないでいる様子を、多計代はじりじりしたまなざしで、追っているようだった。