Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「ナポリのときばかりは、わたしもつくづくお父様がおかあいそうでたまらなかったわ」
楽しいはずの旅がみんなに辛かったことを惜しむように云った。腕をからめて歩いている伸子を自分の方へひきよせるようにして、つや子がささやいた。
「お父様、デッキの上からナポリの街の灯を見て泣いていらしたの」
「お父様、前のときは、イタリーへ行らしたでしょう。ですものなお更ねえ。ナポリって、ほんとにきれいそうなところだったのに」
その美しいナポリへ、印度洋の暑さで弱った多計代は上陸できなかった。多計代が船から動けないために、和一郎と小枝の上陸も、ごたついた。和一郎、小枝が、食卓仲間に誘われてやっと上陸し、やがて午後おそくなってつや子が同じ年ごろの少年少女と一緒に船医につれられて上陸した。わざわざミラノから案内のために出向いて来てくれた人があったのだけれども、多計代が動けないために泰造もとうとう船にのこる決心をしてしまったというのだった。
ひどくもんちゃくしたのが、父に気に入りのナポリだったということが、伸子を悲しくさせた。
「だってまさか、どこでもそんな風じゃなかったんでしょう」