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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

「一向知りませんよ。旦那はお酒の吟味がやかましくて、剣菱を樽で取って飲んでいましたから、酒屋の徳利なんか家へ入るわけはありません」

醜い四十女のお滝は、恐る恐る灯の中へ顔を突出します。

「その樽はどうしたんだ」

と平次。

「昨日瓢箪供養に持出して、残った酒をみんな塚へかけてしまったようです」

それを聞くとガラッ八は舌舐りをしました。勿体なくてたまらない様子です。

「それで、この世の思い出の晩酌の分をそっと隠しておいたのだろう」

「なるほどね」

「八、手前は、酒の鑑定は自慢だったな」

「それほどでもねえが」

「その徳利に残ったのを嘗めてみてくれ。剣菱か地酒か、それが判りゃいい」

「それくらいのことなら判りますよ」

ガラッ八は徳利の酒を一と口、上戸らしく、喉をゴクリと鳴らしました。

「どうだ、八」

「これは良い、――地酒なもんですか、剣菱ですよ、こんなのは滅多にこちとらの口へ入らない」

ガラッ八はもっと欲しそうに、ピタピタと舌を鳴らします。

「やはり死ぬ気だったんだね。本当に酒を止す気で瓢箪供養をしたのなら、たった一升だけ貧乏徳利に剣菱を残しておくはずはない、――夜中に急に飲みたくなれば、お滝を酒屋まで一と走りさせて、まずい酒でも何でも買わせるだろう」