Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「おっと、待った」
「親分、そいつはいけねえ、先刻――待ったなしで行こうぜ――と言ったのは、親分の方じゃありませんか」
「言ったよ、待ったなしと言ったに相違ないが、そこを切られちゃ、この大石がみんな死ぬじゃないか。親分子分の間柄だ、そんな因業なことを言わずに、ちょいとこの石を待ってくれ」
「驚いたなア、どうも。捕物にかけちゃ、江戸開府以来の名人と言われた親分だが、碁を打たしちゃ、からだらしがないぜ」
御用聞の銭形の平次は、子分のガラッ八こと八五郎を相手に、秋の陽ざしの淡い縁側、軒の糸瓜の、怪奇な影法師が揺れる下で、縁台碁を打っておりました。
四世本因坊の名人道策が、日本の囲碁を黄金時代に導き、町方にももっぱら碁が行われた頃、ちょうど今日の麻雀などのように一時は流行を極めた時分です。
もっとも、平次とガラッ八の碁はほんの真似事で、碁盤といっても菓子折の底へ足を付けたほどのもの、それにカキ餅のような心細い石ですから、一石を下すごとに、ポコリポコリと、間の抜けた音がするという代物、気のいい女房のお静も、小半日この音を聞かされて、縫物をしながら、すっかり気を腐らしております。