Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
「何、上手?」
「追っかけてみましたが、早いのなんの、年寄りの足じゃ追い付くことじゃございません。そのうちに、土手を滑り落ちたと思うと、下に軽舸が用意してあって、飛乗ると今度は下手の方へ漕いで行きましたよ」
「あ、やっぱり」
言うまでもなく、いつぞや身投げを助けられた老爺と銭形の平次、寮の騒ぎを他所に、土手の蔭にヒソヒソと物語りします。
老爺を土手に置いて、屋根の上を見張らせたのは実に慧眼ですが、せっかく姿を見た曲者を逃がしてしまっては何にもなりません。しかし平次は何か思惑があるのか、別にそれを悔む風もなく、しばらく腕を拱いて考えておりました。
「ね、親分さん」
「シッ」
話しかけようとする老爺の口を塞ぐように、平次は桜の老樹の蔭に身を潜めます。
寮の勝手元から、ソロリと滑り出した人影、二人の潜んだ桜の側へ差しかかると、
「待て」
「あッ」
平次の手はその襟首へむんずと掛りました。
「そんな事だろうと思った、来い」
引っ立てて、灯の届くところへ来ると、それは紛れもない女中のお千代です。
そのまま女の首根っこを掴んで家へ入ると、主人の善兵衛は漸く正気づきましたが、あまりの衝動に、まだ口をきく力もありません。