Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

「何だ」

半之丞は御墨付を入れた大事の文箱を、鞍の前輪に添えて確と押えたまま、黒助の指さす方を見やります。

なるほど市ヶ谷の方から少しダラダラになった道を来るのは、引越しのガラクタともみえる高荷を積んだ大八車。戸棚を二つも重ねて――いかに電話線のない時代でも、その上へ三間梯子を積んだのですから、恰好が浅ましいばかりでなく、車の動くにつれて、ガラガラと恐ろしい音を立てます。

「旦那様、体裁は悪うございますが、しばらく我慢なすって下さい、この馬は疳が強うございますから」

黒助はそう言いながら、法被を脱いで、馬の首に冠せ、その下から手を入れて、

「ドウドウドウ」

と鼻面から鬣をさすっております。

が、そんな事で宥められる「東雲」でなかったのか、それともすれ違いざま、梯子の先が馬の尻に触ったのか、馬はパッと棹立ちになると、馬丁の法被をかなぐり捨てて、奔流のごとく元の道へ。

「ワーッ、ワーッ」

と言う人声、真昼の往来は断ち割ったように二つに裂けて右往左往に逃げ惑う中を、わずかに鞍にしがみついた半之丞、必死の手綱を絞りますが何の甲斐もありません。

「旦那様、お濠だッ、危ないッ、降りて下さいッ」