Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの野郎、やりやがったな」

彦兵衛は思い当ることがあるらしく、拳固で鼻の頭を撫で上げながら、詰め寄りました。

「びっくりして、気違いのように駆け廻りましたが、相手はどこへ逃げたか、影も形もありません。小梅の寮へ行ってみると、旦那がここへ来ているというのは真っ赤な嘘、よくよく企まれたと気が付くと私はもう、死んでお詫びをするより外に思案もなくなりました」

「…………」

「日の暮れるまで死場所を探して、あっちこっち歩きまわりましたが、どこへ行っても花見客で一パイ、日が暮れると足は横山町の方へ向いておりました。お富に逢って一と言、別れの言葉が言いたかったのです」

徳之助の肩はガクリと落ちて、鬢のほつれも、白い頬も、あわれ深い姿です。

「一緒に死のうと言いましたのは、この私でした、父さん、堪忍して下さい。――父さん一人残して死ぬと思うと、胸が張り裂けるようでした。でも、徳之助さん一人殺して、私は生きている気がしません」

後ろからお富、伸した手はそっと、父親の膝小僧へ――

「ば、馬鹿なッ。親父をつかまえて、惚気を聞かせる奴もねえものだ、へッ、へッ」

彦兵衛はほうり落ちる涙を、横なぐりに払って、歪んだ笑いを絞り出しております。