Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
「水垢離を使わせてやる、驚くな」
高々と持ち上げた手桶から、ドッと一条の飛瀑、熟睡した東作の眼へ鼻へ口へ、いや、顔も襟も胸も、上半身一ぱいにブチまけたのです。
「ワッ、な、何をしやがる」
ガバと飛起きた東作。
「騒ぐな、家は借家だ。望みとあらば、もう二三杯食らわせてやろうか」
手桶を振り冠ったまま、彦兵衛の啖呵は虹を掛けます。
「や、や、胴巻を抜きやがったな」
立ち上がって自分の懐中を捜った東作、さすがに酒の酔いも覚めました。
「当り前よ、油断をした懐中から抜くのは巾着切りの手柄だ。ざまア見やがれ」
「爺奴、一杯食わせたな」
濡れ腐った袷をかなぐり捨てると、逞しい素っ赤裸、東作は行灯を小楯に屹と身構えます。
「金を抜いて娘をくれと吐かしやがったな。手前は江戸の巾着切りの面汚しだ。弁天様のような娘を、そんなモモンガアの餌にしてたまるものか。少しは目が覚めたか、馬鹿野郎ッ」
「その娘を、ヌケヌケと増屋の嫁にする気だろうが、そんな甘いわけに行くものか」
「俺の方でも手前を銭形の親分に引渡すはずだが、――昔の誼、縄を打たせちゃ気の毒だ」
「何を、老ぼれ」
「どっちも抜き差しならねえ破目だ。