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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

「もう大丈夫でございます。無法者は行ってしまいました」

「有難い、――とんだ御迷惑をかけました」

ひょいと押入から出て来た銭形の平次、何心なく行灯の灯の中に、女と顔を見合せて立竦みました。

「あッ、お前さんは?」

紛れもない、夕刻藤沢の宿の入口で、癪を起して苦しんでいた女――、水をくんで来るうちに、行方不明になった女――、平次の頸にかけた、財布の紐を切って抜いた女――。

「まア、私は」

女は両の袂を顔に当てて、身も世もあらぬ様子で畳の上に突っ伏しました。

「お前さんに助けられようとは思わなかった、これはこれは」

「…………」

「癪はどうしたえ、――」

平次は漸く落着きを取戻して、萎れ返った女を観察しました。せいぜい二十二三、町人の女房が江の島詣りに行くといった身軽な風をしておりますが、様子にひどく上品なところがあって、武家の新造、奥方といっても恥かしくないでしょう。

それよりも平次を驚かしたのは、気位の高そうな取澄ました底に潜む、冷美といってもよい不思議な美しさでした。それを見詰めていると、冷たい焔に対して感ずるような、恐ろしい蠱惑と懊悩をさえ感じさせるのです。