Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「八、良い月だなア」
「何かやりましょうか、親分」
「止してくれ、手前が塩辛声を張り上げると、お月様が驚いて顔を隠す」
「おやッ、変な女が居ますぜ」
銭形の平次が、子分のガラッ八を伴れて両国橋にかかったのは亥刻(十時)過ぎ。薄ら寒いので、九月十三夜の月が中天に懸ると、橋の上にいた月見の客も大方帰って、浜町河岸までは目を遮る物もなく、ただもうコバルト色の灰を撒いたような美しい夜です。
野暮用で本所からの帰り、橋の中ほどまで来ると、ガラッ八がこう言って平次の袖を引きました。大した智恵のある男ではありませんが、眼と耳の良いことはガラッ八の天稟で、平次のためには、これほど誂向きのワキ役はなかったのでした。
「あの女か」
「ありゃ身投げですぜ、親分」
「人待ち顔じゃないか、逢引かも知れないよ」
「逢引が欄干へ這い上がりゃしません、あッ」
橋の上にションボリ立っていた女、平次とガラッ八に見とがめられたと気が付くと、いきなり欄干を越して、冷たそうな水へザンブと飛込んでしまったのです。
「八、飛込めッ」
「いけねえ、親分、自慢じゃねえが、あっしは徳利だ」
「馬鹿野郎、着物の番でもするがいい」