Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
六
お角は半狂乱の態でした。襟も裾も乱れたまま、熟柿臭い顔を、わが子の濡れた頬に持って行くのです。
(――三味線をひきながら捜していたんだとよ、迷子の迷子の幸三郎やい――なんてのはいい節廻しだぜ――)
後ろの方で、そんな事を言う者もありました。
「お母ちゃん、――坊は川へ突き落されたんだよ、ひとりで落ちたんじゃないよ――」
四つの早生れで、幸三郎は賢い子でした。咄嗟の間に自分が川に落ちた、因果関係を読んでいたのです。
「まア、この子は、何を言うんだえ、お前を川へ突き落すなんて、そんな鬼のような人があるものか――こんな可愛い児を」
お角は幸三郎のぐしょ濡れの身体を、自分の胸に抱きしめて、駄々っ児のように身を振りました。
「本当だよ、――赤いおべべを着た小母さんが突き飛ばしたよ」
「まア」
お角はゾッと身を顫わせます。
六
この事が平次の耳に入ったのは、それから四五日経ってからでした。
「それは本当の事かい、お角さん」
猿屋町の師匠の家へ、平次が自分でやって来て確かめると、
「親分さん、怖いことですが、幸三郎の言ったことに少しの嘘もありません、――その翌る日この格子から、硫黄付け木に消炭で書いた、こんな物を投込んだ者があります」